生物多様性農業支援センター スタッフブログでタグ「グリーンウォッシュ」が付けられているもの

「企業と生物多様性 グリーンウォッシュにならないために」

 8月20日に、「生物多様性民間参画ガイドライン」が環境省からようや
く発表になりました。来年のCBD/COP10に向け、生物多様性の保全に取り
組もうという企業の数もますます増えてくるのではないかと思います。

 「これまで積み重ねてきたわが社の環境活動をアピールするチャンス」
と思われたり、「COP10にあわせて何か新しい活動をしてアピールしよ
う」と考えていらっしゃる企業の方もいらっしゃるかもしれません。

 後者からは若干泥縄の香りが漂ってきますが、それでもぜひどんどん
進めていただきたいと思います。活動を広げ、そのことをアピールする
ことは、それぞれの企業にとってだけでなく、日本全体にとっても意味
のあることだからです。

 ただし、ここで気を付けていただきたいのは、これから日本企業が行
う対外的コミュニケーションは、海外のNGOや専門家などの眼に触れます
し、場合によってはかなり注目を浴びるかもしれないということです。
そして、たとえ善かれと思って行っていることや、日本国内では比較的
高く評価されている活動であっても、海外の厳しいステークホルダーの
眼には、同じようには映らない可能性があります。

 例えば、これまで多くの日本企業が植林や里山の保全などに取り組ん
できました。きちんとした配慮のもとで進められていれば、生物多様性
の保全にも貢献する活動と言えるかもしれません。ところが、これらの
活動は海外のNGOからは「グリーンウォッシュ」、すなわち「見せかけの
環境活動」だと非難されてしまう可能性があります。

 なぜなら、本業が生物多様性に影響を与えているのに、そのことにつ
いてきちんとした対応をせず社会貢献的な活動だけしているとしたら...
たとえそこに悪気はなく、まずは出来ることから取り組んでいるだけだ
としても、人によってはそれを「本業の影響について何もやっていない
ことをカモフラージュするために、植林などの社会貢献をしているので
はないか」と捉えるかもしれないからです。

 植林や里山の保全、ビーチ・クリーンアップなどをしている企業の
方々は、もちろんそんなよこしまな考えからではなく、純粋に「出来る
ことから」と思っているだけなのだと思います。それなのに、そうした
活動が評価されないばかりか、グリーンウォッシュだなどと思われたら、
とても残念なことです。

 今回発表になった企業向けガイドラインでは、生物多様性の保全を進
めるための「取組の方向」として、まず「事業活動と生物多様性との関
わり(恵みと影響)を把握するよう努める」ことを、そして次に「生物
多様性に配慮した事業活動を行うこと等により、生物多様性に及ぼす影
響の低減を図り、持続可能な利用に努める」ことを挙げています。

 つまりは、本業が生物多様性に与えている影響を正確に把握し、それ
を低減するようにすることこそが、まず最初にすべきことなのです。

 社会貢献活動も、きちんとした配慮がなされているのであれば、けっ
して悪いことではありません。社員や地域の住民の皆さんに対する啓発
活動としての意味もあります。しかし、それを行うにしても、その前に
まず本業の影響を管理することこそが、いま求められていることであり、
グリーンウォッシュというあらぬ疑いを招かないための防衛策でもある
のです。

 こうしたことに十分に注意しながら、ぜひ保全活動をより広げ、また
それをしっかりアピールしていっていただきたいと思います。 

             サステナビリティ・プランナー 足立直樹

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