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焦点'10:放鳥トキ「枝渡し」 初繁殖へ高まる期待 /新潟

 ◇雌はまだ1歳、若過ぎる? 環境省「見守って」

 昨年9月に佐渡島で放鳥された1歳の雌のトキと、08年9月に1次放鳥された3歳の雄が、くちばしに挟んだ小枝を渡し、親愛の情を示す「枝渡し」をする様子が確認された。放鳥後、初のペア誕生に期待が高まっているが、通常、トキが繁殖できる年齢は2歳以上とされており、今春の「2世誕生」となるかは未知数だ。【畠山哲郎】

 ◆情愛深まる?

 この雌は1月18日、いったん本州側の五泉市内に渡った後、今月2日に同島に戻り、7日以降、2羽の雄とそれぞれ行動をともにする姿が確認されていた。このうち1羽の雄とは「ねぐら」もともにしている。

 枝渡しが最初に確認されたのは、雌と雄が合流した直後。雄が小枝をくわえて雌に近寄り、くちばしを向けると、時折、雌がそれを受け取るのが観察された。別の雄も同様の行動をするのが確認されており、1羽の雌を巡る「三角関係」の構図となっている。

 ただ、小枝を差し出されても、雌は知らんぷりして餌を探したりすることが多いという。近くに住む自営業の男性(60)は「雌はまだ1歳。異性に興味がないのかも」と話す。

 ◆中国では先例

 トキが繁殖可能となるのは、飼育下で2歳から、野生で3歳からとされる。飼育下の方が可能年齢が低いのは餌の栄養状態が良く育ちが早いためという。

 佐渡トキ保護センターの金子良則獣医師は、この雌について「人間でいえば12?13歳」と指摘。環境省の笹渕紘平自然保護官も「繁殖にはまだ若いかもしれない」と話す。

 繁殖期を迎えたトキが親愛の情を示す行動としては、枝渡しのほか、くちばしで羽を繕い合う「相互羽づくろい」や、雌の背中の上に雄が乗る「擬交尾」がある。金子獣医師は「擬交尾が最も親しい(証しとなる)。確認されれば、つがいと言っていいだろう」と話す。

 2羽の雄は繁殖期を迎えたことを示す黒灰色の「生殖羽(う)」に変化、雌も徐々に首の周りが黒く変色しつつある。金子獣医師は「中国でも(1歳の放鳥トキが)繁殖した例はある。今後に期待したい」と話す。

 ◆立ち入り規制も

 一方、環境省が頭を抱えるのが、営巣した後の対応だ。

 産卵前、トキは敏感になる。いったん巣を作って卵を産んでも、何か刺激があると、放棄して別の場所に移動してしまうこともある。ヘビなどの外敵が出た場合に、そうした行動を取ることがあり、過去には人間が近づいたため、巣を放棄したケースもあった。

 同省は営巣が確認された場合、立ち入り禁止区域を設け、観察場所を限定するなどの対策を取ることを検討している。笹渕保護官は「そっと見守ってほしい」と呼びかけている。

 ◇順化ケージに新たに6羽

 9月に予定されているトキの3回目の放鳥に向けて、環境省は19日、佐渡市の佐渡トキ保護センター野生復帰ステーションの順化ケージに、新たに6羽を移した。これで飛行や採餌の訓練を行うトキは、今月4日に放した雌5羽と合わせて計11羽となった。

 この日、移されたのは、いずれも昨春生まれの雄と1歳の雌各3羽。同省の笹渕紘平自然保護官は、広大な順化ケージに放されたトキの様子について「驚いて飛び回りネットにあたったりしたが、(次第に)落ち着いた」と話した。5月下旬?6月上旬に、さらに10羽を追加し、計21羽で放鳥に備える。【磯野保】

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 ◆繁殖期のトキの動き

12月? 「生殖羽」に変化

       ↓

     つがい形成

       ↓

 3月? 営巣、産卵を開始

       ↓

 4月? ふ化が始まる

毎日新聞 2010年2月20日 地方版

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