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<活動報告>

生物多様性のための国際活動委員会 学習会 2/2(月)東京・大手町JAビル

「ラムサール会議と水田決議、その後」

講師:イ・インシク氏(小・中学校教師。ウポ沼トキ復元委員会委員長)

 

ラムサールCOP10会議開催地(韓国・チャンウォン)にほど近いこともあり注目を集めた韓国・ウポ沼。周辺には豊かな農地が広がり、人と湿地が長年共存してきました。開発計画を乗り越えて、地域の住民とともに湿地の保全や活用を進めてきたイ・インシクさんを招き、講演会・学習会が開催されました。

 

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(写真 イ・インシュクさん(右))

 

 来日中のイさん、同日山梨県での講演に続いて、東京・大手町の会場に駆けつけるというハードスケジュールで来てくださいました。朝霧漂う水面に漁師の影が浮かぶウポ沼の風景など、美しい写真を交えながら、湿地の保全と活用について語ってくださいました。

 

ウポ沼に開発計画が起こった際に、いち早く反対運動を始めたイ氏でしたが、当初、地域の人々(農家と沼の漁師が多い)は「土地の値段が上がればよい」「工業化で経済が発展すればよい」という意見が大多数。イさんは「住民に嫌われていた」といいます。しかし、イさんはそこであきらめることなく「生態系が守られてこそ、豊かな地域社会が作られる。エコツアーが盛んになれば所得も上がるはず」と根強く住民に呼びかけ続けました。

それまで環境保全といえば国まかせの部分もあったようですが、イさんは「地域の住民、企業、行政といったステークホルダーすべてが参加することが大事」と説き続け、やがて地域の18企業から支援を得るようになります。

 

 今では、ラムサール条約湿地に登録されたウポ沼周辺で、エコツアーはもちろん、わら細工教室、みそ作り教室など伝統文化を伝えるイベントが盛んに行われ、地域の住民が先生となって活躍するようになりました(とくに野鳥の観察会は良い副収入になるのだとか...)。企業の寄付で村の公民館が整備され、シャワーや宿泊施設も整いました。慶尚南道(けいしょうなんどう・日本でいう都道府県にあたる行政)の予算で「湿地教育重点学校」が指定されるようになり、慶尚南道中の子どもが連日のようにウポ沼を訪れ、環境教育を受けています。ウポ沼で見られるマナヅルをパッケージにデザインした「マナヅル米」の販売も好評で、地域の経済も潤うようになりました。

「もう私のするべき仕事はなくなってしまったくらい(笑)」というイさんですが、「今度は環境を守る農業について勉強したい」とすでに次の展開を構想中のようでした。

(文・事務局)

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