生物多様性農業支援センター スタッフブログでタグ「2008年7月23日?24日日本の稲作を守る会 公開確認会」が付けられているもの

2008723日?24

日本の稲作を守る会 公開確認会

 

DSC06456.JPG日時:2008723日-24

主催:パルシステム生活協同組合連合会

参加団体:(株)日本の稲作を守る会、NPO法人民間稲作研究所、NPO生物多様性農業支援センター

 

調査地 団体紹介

(株)日本の稲作を守る会

1995年設立。消費者120を会員に、成苗2本植研究会(現、民間稲作研究所)に関わる生産者のお米を販売する組織として設立。有機および転換期間中有機のお米を中心に販売。有機米との輪作で生産する大豆・麦、研究所で開発した米ぬか発酵肥料など資材の販売も行う。2008年度よりパルシステム生活協同組合連合会の「ふーど米」(独自の基準で、有機栽培が中心)の交流が始まる。生産者数約30名。

 

clip_image002.gif

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

調査地:栃木県塩谷郡塩谷町

(株)日本の稲作を守る会、杉山修一さんの田んぼ

 

 

 

食の安全を確かめる公開確認会

初の「生きもの調査」

2008年度から「パルシステム」(生協)と産直交流が始まった「日本の稲作を守る会」。約30名の生産者のみなさんが、農薬や化学肥料を使わない農法を中心にお米作りをしています。

パルシステムでは「公開確認会」という、産地の確認会が行われています。生協組合員の代表が実際に産地を訪れて、田んぼや畑を目で見て、また栽培方法を書類で確認します。今回初めてこの公開確認会で、田んぼの生きもの調査が同時開催されることになりました。書類だけでなく、生きものの姿で食の安全・安心を伝えようというねらいがあります。

公開確認会の前日、NPO法人田んぼの岩渕成紀さん(田んぼの動物など)、農村工学研究所の嶺田拓也さん(田んぼの植物など)の指導で、生協組合員代表が青々と茂る初夏の田んぼに続々と入り調査開始。ラインセンサスと呼ばれる、田んぼに一列に並んで生きものを調べる方法など、いくつかの方法で調査しました。

田んぼに入った組合員からは、「泥の感触が気持ちいい」「田んぼに生きものがいるなんて知らなかった」といった驚きの声(悲鳴も?)が上がっていましたが、何といっても一番盛り上がったのは、タガメの卵の発見です。タガメがいるということは、タガメが食べるメダカや水生昆虫もたくさんいるという何よりの証拠。今ではタガメは絶滅寸前だといいます。

 

自然へ恩返しする部分のない食料生産は

エサだ!

今回調査した杉山修一さんの田んぼには、かたわらにビオトープと呼ばれる生きものを育む水路が作られていて、一年中水がたまった状態になっています。ここにはメダカやタガメ、ドジョウがたくさんすみついていて、ドジョウを狙ってコサギなど鳥もたくさん集まってきます。「ドジョウが年3回産卵するようになりました。これが本来の田んぼの姿なのかな」(杉山さん)。

 このビオトープ、幅5mくらいはありかなり大きなもの。杉山さんの田んぼは、一辺がこの大きなビオトープになっています。生きもののためとはいえ、何も稲を植えない部分をこんなに作って大丈夫なのでしょうか? 杉山さんによると「田んぼではトラクターを使うけれど、生きものは死んでしまう。かなり殺しているんじゃないかな。だけど殺すだけじゃなくて育む部分を作りたかった。生きるために食料を作るけれど、恩返しする部分を作りたかった」。

杉山さんによれば、生きものが増えて生態系が豊かになると相乗効果が出て、稲作もうまくいくようになるのだとか。杉山さんは、通常1回のしろかき(田植え前に土をかきまわす作業)を3回繰り返して、生えてくる雑草を練りこんでいますが、雑草にも愛情を注ぎます。インタビューでは「憎き雑草との終わりなき戦い」というような言葉をどこか期待していたのですが、杉山さんからはそのような言葉は出ませんでした。

「雑草も僕らの仲間。雑草のコナギが増えるとドジョウが増える。カモが増え、土をかき回すので雑草が出にくくなった。生きものが増えてからは肥料が少なくても稲が育つようになるんです」。

以前は農道と平行するようにビオトープを設置していましたが、「人や車が通ると鳥が驚くから」という理由で、今では農道と垂直にビオトープが設置されています。

杉山さんは、自然に働きかけることなく、自然に恩返しする部分がない食料生産の危うさを訪れる人に説きます。「人間にとって食料はエサなのか、命のかてなのか。僕は命のかてを作りたい、食べたい」

 

     調査結果

動物43種類

ミズカマキリ、コオイムシ、シマゲンゴロウ、タイコウチ、タガメ、ドジョウ、タモロコ、アカガエルなど

※詳細080723動物・日本の稲作を守る会.xls

 

植物56種類

ノミノフスマ、コハコベ、ツボスミレ、カタバミ、ケキツネノボタン、コゴメギク、コナギ、オモダカなど

※詳細 080723植物・日本の稲作を守る会.xls 

 

     結果から

NPO法人民間稲作研究所、NPO生物多様性農業支援センター

稲葉光國

害虫と呼ばれているイナゴやイネドロオイムシは、夜の気温が高い年、稲の葉が伸びすぎてしまうのを食べて調節してくれる役割があります。生きものがいないと有機稲作は成り立ちません。有機物の10%を稲が吸収し、90%を他の生きものが吸収しています。

 

     参加者の感想

パルシステム組合員 小林さん

愛媛県の生まれ、ホタルの飛ぶ田園風景のなかで育ちましたが、今住んでいるつくば市では、ザリガニ、カメ以外は見つけられませんでした。今回はコシマゲンゴロウやタガメの卵、イチョウウキゴケといった貴重な生きものを見つけることができて感激しました。父母と暮らした少女時代を思い出しました。農の詩が聞こえてきました。こんな環境がビオトープで再生されるのですね。

 

NPO生物多様性農業支援センター

田崎愛知郎

生協組合員が産地を確認する「公開確認会」に、初めて生きもの調査が取り入れられました。組合員には、ただ単に細かな調査票を調べるだけでなく、農の営みの結果現れた生きものや環境に目を向けてほしいです。食・環境・農業を一体となって考えることのできる組合員になってほしいと思います。

 

 

 

 

DSC06355.JPG田んぼのわきのビオトープにはメダカやタガメがすんでいる

 

DSC06309.JPG一列にならんで生きものを探す

DSC06429.JPGタガメの卵

タグ