2011年5月アーカイブ

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   ΘΘ 生物多様性農業支援センター(BASC)メールマガジン
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⊆(_ _ )⊇  14号  平成23年5月19日
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 理事長より
 BASC会員及び田んぼ市民の皆様へ

東日本大震災と田んぼの生きもの

東日本大震災の被災地の皆様には心からお見舞い申し上げます。

 震災から2ヶ月が経過し、被災地の復興について様々な話が新聞やテレビで報じられている。冠水した田んぼの塩分の除去、放射能汚染された田んぼの表土の除去、更に大規模圃場整備による復興の話だけが進行し、田んぼの命に関する議論は何処にも見当たらない。田んぼに水がなければカエルは産卵ができず、田んぼの生きものたちの「命の連鎖」は途切れてしまう。
 これまで私たちは田んぼの生きもの調査を通じて、農業が米を生産するだけでなく、多様な命(5668種)を生産していることを訴えてきた。今回の大災害によって一部の地域では米生産は出来ないが、命の生産は田んぼに水を入れることによって出来る。
更に、もう一方の田んぼの命である被災した稲作農家の人たちの声が聞こえてこない。カエルは人間の声を出せないが被災した稲作農家は声を出せる。今は、少しでも早く避難所暮らしから解放され「昔の暮らし」を夢見ているので声を発していないのかもしれないが、本当に今のような復興の議論で良いのだろうか。全国の稲作農家は連続する価格下落により経営が圧迫され、後継者も確保できていない。被災した農家も同様であり、塩分が除去され大規模化して復興したとしても農業機械を買って再び稲作経営に取り組む農家は少ない。更に、減反政策が続けられ、戸別所得補償の展望が開けず、TPPによる関税化が進められて価格低下が続く状況のなかで、稲作経営に取り組む決心をする農家が多数を占める可能性は殆ど無い。今回の農業用施設の復興案には津波対策はあるが、魚道や江を設置する生物多様性の対策が見当たらず、これではカエルも復活する可能性は少ない。震災以前は地域での「暮らしと稲作が不可分一体」だったので、農家は経営採算を度外視しても稲作を続けていた。このことを忘れていくら立派な復興プランを実施しても、そこに稲作農家とカエルの暮らしは無い。
 3.11は価値観と暮らし方の大転換だと言われている。これまでの稲作は地域の暮らしによって続けられて来たが、地域の暮らしが変化した時には田んぼが復田しても、そこには耕す農家と生きものたちはいない。水田は米の生産だけではなく様々な命を育む機能があるということを確認した「水田決議」は何処に行ってしまったのだろう。

特定非営利活動法人 生物多様性農業支援センター
理事長 原 耕造


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