原 耕造 的世界

原 耕造(はら こうぞう)プロフィール

特定非営利活動法人生物多様性農業支援センター(略称BASC)初代理事長。
1949年東京都生まれ。75年全国農業協同組合に入会し、87年ドイツ駐在事務所、SR推進事務局などを経て、2006年より現職。「田んぼ市民運動」を展開し、環境保全型農業を推進。全農と生協が進めてきた「田んぼの生きもの調査」プロジェクトの代表なども歴任。

主な著書 『環境保全型農業の課題と展望』(共著、大日本農会)、『安心を届ける食品のトレーサビリティ』(共著、サイエンスフォーラム)、『水田再生』(共著、家の光協会)など。

2018年8月4日 永眠

講演会の様子(おきたま産直センター)
韓国研修にて

原 耕造という生きもの

原耕造さんは 視野が広い人。
いろいろな考えを持つ人達をまとめることが出来る人。
周囲に人が沢山集まる人。
楽しくお酒が呑める人。
楽しく仕事も出来る人。
怒ると江戸弁が出てしまう江戸っ子。

特定非営利活動法人生物多様性農業支援センター理事 坂上 昌宏

原耕造さんに感謝!
 佐渡には今500羽を超えるトキが生息しています。この時の野生復帰成功には原さんが大きく関わっています。
 2005年、「全農に面白い人がいる、佐渡に呼びましょう!」とNPOから言われ、その面白い人が原さんでした。巨大組織である全農職員とは思えない、型破りな人だなーと、第一印象!次に少し高い張りのある声で繰り出す理路整然と飛んでくるマシンガントークに圧倒さされながらも環境問題を世界視野で講義をする姿に、いつしか師匠と呼んだら、「私は神だ」と返され笑った記憶が蘇る。
 しかし「原神様」と言ってもいいほど佐渡にとってはたくさんの種をまき、実を結ばせてくれた恩人である。当時、取り組む地域が稀だった頃の生きもの調査の精神論と目的、日本初認定における世界農業遺産の考え方と方向性、生物多様性とは何か、トキと棲む佐渡の価値とトキの野生復帰に多くの示唆を与えてくれた原さんには感謝しかない。
 今はまさに神となって天から見守ってくれている原さん、ありがとう!佐渡は、まだまだ頑張ります!

佐渡トキの田んぼを守る会・佐渡斉藤農園 斉藤 真一郎

原耕造と坂上昌宏理事
原耕造と斉藤真一郎氏

 2004年にJA全農、パルシステム生活協同組合連合会、生活クラブ生協連合会、㈱アレフ、NPO法人農と自然の研究所、NPO法人田んぼ、NPO法人民間稲作研究所、(社)農村環境整備センター等で構成された田んぼの生きもの調査プロジェクト活動も早いもので4年目を迎えました。そしてここ数年の間で私たちプロジェクトの活動を取り巻く情勢は大きく変わりました。

 2008年の7月には初めて農水省版の生物多様性戦略が策定され、11月には第3次生物多様性国家戦略が閣議決定されました。更に今年の10月に韓国でラムサール条約第10回締約国会議が開催され、水田が米を生産する機能だけではなく、水鳥を始め生きものにとって大切な機能を有することを確認する水田決議がされます。2010年には名古屋で生物多様性条約の第10回締約国会議が開催されることが決定し、そこでは種の減少レベルに歯止めをかける国際的生物指標が設定される予定です。

 このような情勢のなかで田んぼの生きもの調査活動はプロジェクトという任意団体として進めてきましたが、もはやその活動を内外に明らかにして生物多様性という視点からの農業の大切さを国民に広く訴えなければならなくなりました

 そのためには、田んぼの生きもの調査活動を市民調査として位置づけ、各方面に渡って全国展開をします。更に、韓国で既に取り組まれている市民調査を東アジア全域に展開し、世界に向かってアジアの田んぼの価値を発信しなければなりません

 経済のグローバル化のなかで自国の農業を保護するためには、ガットウルグァイラウンドで合意されている緑の政策に基づく本格的な直接支払いを導入しなければなりません。しかしわが国では農業問題は食の安全の領域にとどまり、環境の領域から見た本格的な直接支払いに対する国民的合意は形成されていません。そこで直接支払いに対する国民的合意形成をするために、生産者の行動規範として生きもの調査を位置づけ、更に消費者の行動規範として民間型環境直接支払いを位置づける新しい取り組みが必要となってきました。

 去る5月22日に、田んぼの生きもの調査プロジェクトをNPO生物多様性農業支援センターと改め、NPO法人として出発するための設立総会が開催され満場一致で議決されました。

 私たちNPO生物多様性農業支援センターは農に根ざした地域の伝統文化を守り、総ての経済活動に優先する地球環境問題に取り組む農業を支援します。更に、田んぼの生きもの調査(市民調査)に参加することにより、これまでの人間中心の考え方から脱却し、生きものと一体となった地域社会の価値観を創造します。

 私たちNPO生物多様性農業支援センターは、目的を共有化する市民、農業者(林業、漁業も含む)、生産法人、消費者、消費者団体、自然保護団体、地域活動家、教育活動家、環境NPO、行政、JA、学識者などがテーマ別に幅広く連携、協働していくネットワークの核となることを目指しています。更に、CSR活動を展開している民間企業と提携し、人と生きものに優しい農業と活動の輪を広げてゆきたいと思っています。

 環境問題、農業問題、食料問題等に関心を持たれて活動をされている皆様には、是非私たち生物多様性農業支援センターにご入会いただき、今後の活動を共にしてゆきたいと思っています。

2008年(平成20年) 初代理事長 原耕造

生きもの調査の仲間たちと
佐渡コウノトリ研修会にて
日野市の生きもの調査にて
狭山市の生きもの調査の仲間たちと